【新装版】BAD BOYS
彼女の綺麗な指の隙間を、極彩色の髪が流れる。
はなびみたいだと、芹が言ってくれたあの瞬間から。──わたしのとくべつな、髪色。
「もどってきてほしいと本気で思っているから、連れ戻そうとしてくれているのに。
勝手に悪者にするなんて、ひどいと思わない?」
「……そう、ね」
「大切なのは、はなびの気持ち。
それを考えればできることが、あるでしょう?」
めずらしく、杏子の饒舌な喋り。
そうやってなぐさめてくれる優しいともだちに小さく笑って、今度こそしっかりとうなずく。
「逃げてちゃだめ、よね」
思えば椿は、あれだけわたしが拒んでも、少々強引ではあったけど、まっすぐに向き合ってくれた。
それが案外むずかしいってこと、いざ自分がその立場にたってみると、よくわかる。
「ノア……今度、デートしてくれる予定だから。
そのために今仕事詰めてるみたいで、しばらく会えないの」
「……それなら、向き合う相手を変えてみたら?」
「……、うん。そうする」
椿から連絡が途絶えたことも、気になるし。
ひとまず自分から動いてみようという気にさせてくれた杏子にお礼を言っていたら、桃が呼び出しから帰ってきて、勢いよく抱きついてきた。
「何話してたの!?」
「桃には内緒」
そういう桃の、まっすぐなところ。
たまに羨ましいと思うけど、絶対言ってあげない。