【新装版】BAD BOYS
『もしもし。
……どうした? 今日は出るの早いな』
ワンコールだったぞ、とくすくす笑う彼。
わたしの幼なじみ。彼は毎日決まった時間に電話をかけてくるけど、こんな風に待機するのはたしかにはじめてだ。
自分から連絡したってよかったけど、それじゃあたぶん、まわりにほかのメンバーがいるだろうし。
ふたりだけで話したいから、我慢した。
「あの……最近、みんなと会ったりしてる?」
『………』
「……染?」
『まさか、自分から『花舞ゆ』の話を持ち出してくるとは思わなかった。
……会ってるぞ。今日も上は全員揃ってた』
数日、染と電話したけど。
彼等の話をしないと思っていたら、わざとだったのか。……染が考えナシに動くとは思ってないから、これも意味があるのはわかってたけど。
「そう。……元気にしてる?」
『元気すぎて面倒なくらいだよ』
「ふふっ。……でも好きでしょう?」
リビングのソファから立ち上がって、ベランダに出る。
地元の街並みが視界に広がって、染の住む方を眺めながら、自然と目を細めた。
『好きじゃなかったら、そばにいねえよ。
……お前も、そうだっただろ』
「……ええ。それはもちろん」