【新装版】BAD BOYS
染は、素直な人だ。
好きなものはすき、嫌いなものはきらい。それがはっきりしているけど彼自身は好かれるタイプの人だから、いまも『花舞ゆ』の頂点にいる。
「……ねえ、みんなに伝えてくれる?」
『ん?』
「……ごめんね、って」
『………』
「忘れてあげられそうになくて、ごめんね、って」
どこか言い訳にしてたのかもしれない。
ノアが嫌がるから関わりたくないって。自分の気持ちに嘘をついて、向き合うことが怖くて。──ノアに嫌われたくない気持ちが強くて、縋り付いてた。
『……はなび、こっちにいるんだろ』
「ふふ……そうね。
あなたたちの、近くにいるわ」
『お前が白金に通ってることも知ってるし、どのあたりに住んでるのかも、なんとなく見当はついてる。
……会いに行こうと思えば、いつでも行ける』
「………」
『でも、会いに行かねえから。
……お前がもどりたくなったら、いつでも来い』
ずっと待っててやるから、って。
その言葉が優しくて、泣きそうになる。……わたしが目を背けていただけで、優しい言葉をくれる人は、たくさんいたのに。
『「おかえり」って、全員で迎えてやるよ』