【新装版】BAD BOYS
「実はノアと会えてないのよね」
『はあ?』
「大丈夫よ、今週末デートするから」
そのときに話すわ、と。
不機嫌を全力で伝えてくる芹に何か言われる前に、先手を打つ。電話でできない話じゃないけど、こういうのは直接会って話したいし。
『今週末……
あーあ、椿もカワイソーなヤツだな』
「……なんで椿?」
『ああん?
あいつ、今週末から修学旅行で関西なんだよ。つまりお前が『花舞ゆ』に来れるチャンスかもしんねーってのに、あいつは関西』
……ああ、そういうことね。
でもみんなが知らないだけで、わたしはもう既に椿と会っている。誰よりもはやく会った。だから彼は気にしてないと思う。
「氷見が丘はいつ行くの?修学旅行」
『俺らは1年の終わりに行った。
朔摩は10月だからまだ先って、染が言ってたぞ』
「へえ」
じゃあ本当に、天皇寺組だけがいないのか。
……みんなはわたしが帰ってきていることを知っているけれど、椿と会ったことは知らないし。
『お前にいちばん会いたがってんのは椿なのによ』
「あら?
そう言ってる芹がいちばんわたしに会いたかったりして」