【新装版】BAD BOYS



しれっと言い返してみたら、彼は楽しげに笑う。

それから『まあ会いてーな』と言ってくれるから、わたしも笑ってしまった。……芹のこういうところ、好きだ。



「そういえば椿、あなたがわたしに昔告白してたこと知らなかったらしいわよ」



『ああ。らしーな。

なんだ?センパイから俺に乗り換えしたいって?』



「ううん、全然」



『そこは嘘でも「うん」って言えよ俺がイタいヤツみたいじゃねーか』



「大丈夫よ、そんなこと思ってないから」



遠慮のないやり取りに、ふたりで笑い合う。

こんな些細なことでさえとても幸せで。……はやくみんなに会えたらいいのに。顔を見なくてもどんな表情なのかわかるけど、やっぱり顔が見たい。




『お、噂をしてればおかえりだぜ椿』



「え? あなた今一体どこにいるの」



『んー?たまり場。

珠紀はデートで、穂は用事で帰って、染はなんか会う約束あるって帰った。……で、暇だったからお前に連絡したんだよ』



「わたしを暇つぶしに使わないでもらえる?」



……だからこんな夕方に電話してきたのか。

ほかのメンバーはだいたい夜にかけてくるから、てっきり今日芹はたまり場によらずに家にいるのかと思ってたけど。



『遅かったなー。どした?』



『修旅前だから学年集会。

……無駄に長くて帰れなかったんだよ』



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