魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「婚約破棄をしろ。この、ど変態野郎」
いきなり魔導士団の執務室に入って来てこんなことを言う人物をトラヴィスは一人しかしらない。むしろ、一人いれば十分だ。
「私は、君と婚約をした覚えはないが」
「はっ。相手は俺の妹に決まっているだろう。この、ど変態」
ライトが腕を組み、机を挟んで座っているトラヴィスを見下ろした。お互いに立っていたとしても、ライトの方が少し彼よりも背が高い。
「なぜ私と君の妹の婚約に、君が口を挟む?」
「お前の相手が俺の大事な可愛い妹だからだ」
「わけがわからないな」
トラヴィスは首をすくめた。
「わけがわかるだろう。妹はまだ十七だ」
ライトは、バンとトラヴィスの机に手をついた。
「まだじゃない、もう十七だ。私は君の父親との約束は守ったつもりだ」
「そうか。それなら安心だ。妹はまだ清いということだな」
「約束を守ったから、そろそろ結婚できるだろうと思っていたつもりなのだが……」
はっ、とライトは鼻で笑った。
「お前。まさか、本気でレインと結婚できると思っていたのか?」
「できないのか?」
真面目な顔でそんなことを言われても逆にライトが困ってしまう。
「レインは魔力が枯渇している。つまり、魔力が無いということだ。そんな妹に、お前はもう興味はないだろう」
そう言ったライトは、ため息とともに頭をかいた。
いきなり魔導士団の執務室に入って来てこんなことを言う人物をトラヴィスは一人しかしらない。むしろ、一人いれば十分だ。
「私は、君と婚約をした覚えはないが」
「はっ。相手は俺の妹に決まっているだろう。この、ど変態」
ライトが腕を組み、机を挟んで座っているトラヴィスを見下ろした。お互いに立っていたとしても、ライトの方が少し彼よりも背が高い。
「なぜ私と君の妹の婚約に、君が口を挟む?」
「お前の相手が俺の大事な可愛い妹だからだ」
「わけがわからないな」
トラヴィスは首をすくめた。
「わけがわかるだろう。妹はまだ十七だ」
ライトは、バンとトラヴィスの机に手をついた。
「まだじゃない、もう十七だ。私は君の父親との約束は守ったつもりだ」
「そうか。それなら安心だ。妹はまだ清いということだな」
「約束を守ったから、そろそろ結婚できるだろうと思っていたつもりなのだが……」
はっ、とライトは鼻で笑った。
「お前。まさか、本気でレインと結婚できると思っていたのか?」
「できないのか?」
真面目な顔でそんなことを言われても逆にライトが困ってしまう。
「レインは魔力が枯渇している。つまり、魔力が無いということだ。そんな妹に、お前はもう興味はないだろう」
そう言ったライトは、ため息とともに頭をかいた。