魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
だけど、そうやって直球で言われてしまうと、どうしていいかがわからない。
「トラヴィス様。何度も申し上げておりますが。私は魔力を失いました。こんな私がトラヴィス様の相手にふさわしいとは思えません」
冷静に、そう、いたって冷静に。感情を押し殺して、その言葉を口にした。
だが、トラヴィスから戻ってきた言葉は。
「それについては問題ない。君の魔力枯渇の原因もわかっているし、それの対処法もわかっている。間違いなく、君の魔力は戻る。だから、私と結婚して欲しい」
テーブルの上で組んでいた両手の上に、トラヴィスが手を重ねる。トラヴィスの手は大きくて、そして温かい。
「トラヴィス様……」
「私は、君のことを愛している。君と家族になりたい。そう、ずっと思っていた。誰にも奪われないように、五年前から君を縛り付けて、大人になるのを待っていた。そういうずるい男だ。そんなずるい男は嫌いか?」
レインは勢いよく顔を左右に振る。それの表す意味は、いいえ。
「トラヴィス様。何度も申し上げておりますが。私は魔力を失いました。こんな私がトラヴィス様の相手にふさわしいとは思えません」
冷静に、そう、いたって冷静に。感情を押し殺して、その言葉を口にした。
だが、トラヴィスから戻ってきた言葉は。
「それについては問題ない。君の魔力枯渇の原因もわかっているし、それの対処法もわかっている。間違いなく、君の魔力は戻る。だから、私と結婚して欲しい」
テーブルの上で組んでいた両手の上に、トラヴィスが手を重ねる。トラヴィスの手は大きくて、そして温かい。
「トラヴィス様……」
「私は、君のことを愛している。君と家族になりたい。そう、ずっと思っていた。誰にも奪われないように、五年前から君を縛り付けて、大人になるのを待っていた。そういうずるい男だ。そんなずるい男は嫌いか?」
レインは勢いよく顔を左右に振る。それの表す意味は、いいえ。