魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「えっと。それは、トラヴィス様の願望ではなく?」
ものすごい切り返しをしてきた。
「そういった願望が無いと言ったら嘘になるが」
口の中が渇いていたので、水分を補給しようと思ったのだが、先ほどお茶を飲み干していたことに気付く。
「すまない、レイン。もう一杯、お茶をいただけないだろうか」
こくこくと、首振り人形のように首を縦に振ってレインは立ち上がった。今度は苦くないお茶を淹れる。心を落ち着かせるような、爽やかな香り。
「えっと。それで、私がその、トラヴィス様と交われば魔力が戻ると?」
厳密にいえば、相手はトラヴィスに限らないのだが。そこを訂正すべきか否かで悩む。だが、根が正直なトラヴィスは口にしてしまう。
「まあ、そうだな。厳密にいえば、魔力のある相手であればよいので、何も私にかぎった話ではないのだが」
そこで一瞬、レインの顔が曇る。
「つまり、トラヴィス様は、私が他の方とそのような関係になっても構わないと、そうおっしゃるわけですか?」
「いや、けしてそういうわけではなくて、だな。その、あくまでも。その、一般的な魔力回復方法という話をしているだけで……」
ものすごい切り返しをしてきた。
「そういった願望が無いと言ったら嘘になるが」
口の中が渇いていたので、水分を補給しようと思ったのだが、先ほどお茶を飲み干していたことに気付く。
「すまない、レイン。もう一杯、お茶をいただけないだろうか」
こくこくと、首振り人形のように首を縦に振ってレインは立ち上がった。今度は苦くないお茶を淹れる。心を落ち着かせるような、爽やかな香り。
「えっと。それで、私がその、トラヴィス様と交われば魔力が戻ると?」
厳密にいえば、相手はトラヴィスに限らないのだが。そこを訂正すべきか否かで悩む。だが、根が正直なトラヴィスは口にしてしまう。
「まあ、そうだな。厳密にいえば、魔力のある相手であればよいので、何も私にかぎった話ではないのだが」
そこで一瞬、レインの顔が曇る。
「つまり、トラヴィス様は、私が他の方とそのような関係になっても構わないと、そうおっしゃるわけですか?」
「いや、けしてそういうわけではなくて、だな。その、あくまでも。その、一般的な魔力回復方法という話をしているだけで……」