魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
トラヴィスの周囲に群がる大人たち。子供の自分は不釣り合い。ずっと、そう思ってきたから。
「すまない。レインがそのように思い詰めていたとは、知らなかった。その、団長と約束をしていたから」
トラヴィスが言う団長とは、前団長のこと。つまり、レインの育ての父親。
「お父様との約束?」
「結婚するまで、婚前交渉はしない、と。それが婚約したときの条件だった。それを破ってしまうと、結婚ができなくなるから、と我慢していた」
「我慢、なさっているのですか?」
「してる。いつも。今も」
レインは唇を噛み締めた。そういう気持ちでいてくれたことが嬉しいのと、そして恥ずかしいのと。
「トラヴィス様」
大きく息を吐きながら、婚約者の名を呼び。
「好きです」
「すまない。レインがそのように思い詰めていたとは、知らなかった。その、団長と約束をしていたから」
トラヴィスが言う団長とは、前団長のこと。つまり、レインの育ての父親。
「お父様との約束?」
「結婚するまで、婚前交渉はしない、と。それが婚約したときの条件だった。それを破ってしまうと、結婚ができなくなるから、と我慢していた」
「我慢、なさっているのですか?」
「してる。いつも。今も」
レインは唇を噛み締めた。そういう気持ちでいてくれたことが嬉しいのと、そして恥ずかしいのと。
「トラヴィス様」
大きく息を吐きながら、婚約者の名を呼び。
「好きです」