魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
3.ここを出ます
レイン・カレニナ、十七歳。そろそろ十八に手が届くところ。魔導士団所属。十歳で入学許可が出る王立魔法学園の入学試験で、魔力が無限大であるということが発覚する。魔力無限大とは、魔力鑑定ができないということ。とにかく魔力の上限は九が六つ並ぶ数字であり、それ以上の魔力があると鑑定ができない。つまり、この状態を無限大と呼んでいた。
この魔力無限大は、いくら魔法を使ってもこの数値が変動しないと言われている。だからこその無限大。
本来であれば、学園の卒業は十八。だがレインは、その魔力無限大ということもあり、次々と上級魔法を取得して、十五で卒業してしまった。その後は、兄、ライトの助言もあって魔導士団へと入団。兄がいるから魔法研究所の入所も検討したのだが、それだけの魔力を研究のためではなく魔物討伐のために使って欲しいという、国からの要望でもあった。
「レイン、具合はどうだ?」
そのレインは、先日から体調を崩して伏せっている。必要最小限の行動でしか、ベッドから抜け出すことができないようだ。
「はい。大分、楽になりました」
「そうか」
「旦那様。少しお話が」
と、口を開いたのはレイン付きの侍女のマレリアだった。レインに話が聞こえないようにと、一度彼女の部屋を出る。
「どうした? レインの具合は良くないのか?」
「その件ですが。あの、お嬢様には先月、やっと月のものがきたところなのですが」
マレリアは重く口を開く。
「それは報告を受けている」
それを淡々と受け取るライト。
「そちらがまだ安定していないようでして。それで今回のように体調を崩されてしまうようです」
「それをわざわざ俺に言うということは、あまり一般的ではない、ということか?」
「そうですね、たまにそのような者もおりますが。ただ、お嬢様の場合は、魔力が関係しているかと思いまして、旦那様にご相談した次第です」
「そうか」
ライトは腕を組んだ。性の成長と魔力の関係について書かれていた文献があっただろうか。
この魔力無限大は、いくら魔法を使ってもこの数値が変動しないと言われている。だからこその無限大。
本来であれば、学園の卒業は十八。だがレインは、その魔力無限大ということもあり、次々と上級魔法を取得して、十五で卒業してしまった。その後は、兄、ライトの助言もあって魔導士団へと入団。兄がいるから魔法研究所の入所も検討したのだが、それだけの魔力を研究のためではなく魔物討伐のために使って欲しいという、国からの要望でもあった。
「レイン、具合はどうだ?」
そのレインは、先日から体調を崩して伏せっている。必要最小限の行動でしか、ベッドから抜け出すことができないようだ。
「はい。大分、楽になりました」
「そうか」
「旦那様。少しお話が」
と、口を開いたのはレイン付きの侍女のマレリアだった。レインに話が聞こえないようにと、一度彼女の部屋を出る。
「どうした? レインの具合は良くないのか?」
「その件ですが。あの、お嬢様には先月、やっと月のものがきたところなのですが」
マレリアは重く口を開く。
「それは報告を受けている」
それを淡々と受け取るライト。
「そちらがまだ安定していないようでして。それで今回のように体調を崩されてしまうようです」
「それをわざわざ俺に言うということは、あまり一般的ではない、ということか?」
「そうですね、たまにそのような者もおりますが。ただ、お嬢様の場合は、魔力が関係しているかと思いまして、旦那様にご相談した次第です」
「そうか」
ライトは腕を組んだ。性の成長と魔力の関係について書かれていた文献があっただろうか。