魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
23.いっそのこと殺されてください
「レイン」
トラヴィスはそっと彼女を押し倒し、その頬に手を添える。そこから伝わる彼女の温もり。彼女はここにいる。
そっと、その柔らかい唇に口づける。唇と唇同士の、軽いキス。それが離れるとトラヴィスは彼女の顔を見つめる。なぜか、その目が潤んでいる。
「どうかしたのか?」
「いいえ、何も」
「でも、今にも泣きそうだ」
「幸せすぎて」
「困ったな」
そこでトラヴィスは呟いた。
瞳を潤ませたままレインは彼を見上げた。どうして、とその目は言っている。
「君を泣かせたら、ライトに殺される」
「それは、困りましたね。もう、いっそのこと殺されてください」
目尻に溜まった涙を溢れさせながら、彼女の方から両手を伸ばし、彼の頬を包み込んで口づけをした。
「レイン。残念な話だけれど。君が魔力枯渇の状態では、子は孕まないのだよ」
と言うトラヴィスの一言が、恐ろしく聞こえた。
トラヴィスはそっと彼女を押し倒し、その頬に手を添える。そこから伝わる彼女の温もり。彼女はここにいる。
そっと、その柔らかい唇に口づける。唇と唇同士の、軽いキス。それが離れるとトラヴィスは彼女の顔を見つめる。なぜか、その目が潤んでいる。
「どうかしたのか?」
「いいえ、何も」
「でも、今にも泣きそうだ」
「幸せすぎて」
「困ったな」
そこでトラヴィスは呟いた。
瞳を潤ませたままレインは彼を見上げた。どうして、とその目は言っている。
「君を泣かせたら、ライトに殺される」
「それは、困りましたね。もう、いっそのこと殺されてください」
目尻に溜まった涙を溢れさせながら、彼女の方から両手を伸ばし、彼の頬を包み込んで口づけをした。
「レイン。残念な話だけれど。君が魔力枯渇の状態では、子は孕まないのだよ」
と言うトラヴィスの一言が、恐ろしく聞こえた。