魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「いや、言いたいことがあるなら、言ってもいいぞ?」
マレリアはコホンと可愛らしく咳払いをする。
「私の方から申し上げますと。同じようなことはどこでも言われている、ということです。旦那様、あ、この場合の旦那様はトラヴィス様のことです。その旦那様が唯一言うことを聞く人物、それが奥様ということです。奥様がこちらに来られてから、旦那様もずいぶんと丸くなられたとのこと。つまり、奥様には感謝しかない、とのことです」
どこまで問題児なんだあいつは、とライトは心の中で吐き出す。
「恐らく、すぐにトラヴィスも俺も遠征に出る」
「え、お兄様もですか?」
「この時期にトラヴィスを遠征に出すと、間違いなく揉めるだろう」
そこでライトは苦笑を浮かべる。その兄の気持ちがよく理解できるところが、恐ろしいところでもあるのだが。
「だから、俺も一緒に行く。俺の方もそろそろ実地実験を行ってみたいと思っていたところだから、ちょうどいい。それに、何人か研究所からもメンバーを出そうと思う。そいつらも、試してみたいことがある、と言っていたからな」
マレリアはコホンと可愛らしく咳払いをする。
「私の方から申し上げますと。同じようなことはどこでも言われている、ということです。旦那様、あ、この場合の旦那様はトラヴィス様のことです。その旦那様が唯一言うことを聞く人物、それが奥様ということです。奥様がこちらに来られてから、旦那様もずいぶんと丸くなられたとのこと。つまり、奥様には感謝しかない、とのことです」
どこまで問題児なんだあいつは、とライトは心の中で吐き出す。
「恐らく、すぐにトラヴィスも俺も遠征に出る」
「え、お兄様もですか?」
「この時期にトラヴィスを遠征に出すと、間違いなく揉めるだろう」
そこでライトは苦笑を浮かべる。その兄の気持ちがよく理解できるところが、恐ろしいところでもあるのだが。
「だから、俺も一緒に行く。俺の方もそろそろ実地実験を行ってみたいと思っていたところだから、ちょうどいい。それに、何人か研究所からもメンバーを出そうと思う。そいつらも、試してみたいことがある、と言っていたからな」