魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
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トラヴィスは散々文句を言いながら、遠征に行った。だけどあの人は遠征が嫌いではない。両親の仇であるそれらが相手だからだ。それに今回は、お守り役としてライトもくっついていったから、心配はないだろう。
「お久しぶりです。ドニエル様」
「えっと、レインさん。えー。と。はあ、まあ。なんて声をかけたらいいかがわからないところですが。とりあえずは、ご結婚おめでとうございます」
「ありがとうございます。長い間、お休みをいただいてしまい、申し訳ありません」
「いえ、お気になさらず。その、体調が悪いとうかがっておりましたので」
と言うドニエルの口調は棒。しばらく見ないうちに、レインが変わってしまったという驚きも含む。
「あ、はい。おかげさまで、なんとか」
まさかの魔力枯渇とは口が裂けても言えない。
そしてドニエルの方も、実はトラヴィスに監禁されていたと思っていましたとは、口が裂けても言えない。
お互いに心の内に抱える秘密。
「それで、レインさんも病み上がりということもありまして。その、女性同士いろいろ困ったこととかお話できたほうがいいんじゃないか、ということもありまして」
トラヴィスは散々文句を言いながら、遠征に行った。だけどあの人は遠征が嫌いではない。両親の仇であるそれらが相手だからだ。それに今回は、お守り役としてライトもくっついていったから、心配はないだろう。
「お久しぶりです。ドニエル様」
「えっと、レインさん。えー。と。はあ、まあ。なんて声をかけたらいいかがわからないところですが。とりあえずは、ご結婚おめでとうございます」
「ありがとうございます。長い間、お休みをいただいてしまい、申し訳ありません」
「いえ、お気になさらず。その、体調が悪いとうかがっておりましたので」
と言うドニエルの口調は棒。しばらく見ないうちに、レインが変わってしまったという驚きも含む。
「あ、はい。おかげさまで、なんとか」
まさかの魔力枯渇とは口が裂けても言えない。
そしてドニエルの方も、実はトラヴィスに監禁されていたと思っていましたとは、口が裂けても言えない。
お互いに心の内に抱える秘密。
「それで、レインさんも病み上がりということもありまして。その、女性同士いろいろ困ったこととかお話できたほうがいいんじゃないか、ということもありまして」