魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「魔力鑑定」
魔力鑑定のできる魔導士も限られている。魔導士団の中では団長と副団長クラス。だが、残念なことに現在の副団長にはそれができないらしい。つまり、魔導士団の中だけではトラヴィスだけ。
さらに研究所所属の魔導士でも上位クラスのみ。ライトだって魔導士団に入団していたら、トラヴィスと同じように団長クラスの力を持っている。
「レイン」
「はい」
「魔法を使ったか?」
「いいえ。どうかしましたか?」
ライトはレインの手を握ったまま黙っている。
「お兄様?」
「レイン。魔力が、無くなっている。今、お前の魔力はゼロだ」
「え」
レインは目の前が真っ暗になったように感じた。頭をガツンと何かで殴られたような気分だ。
「何か、魔法を使ったのか?」
もう一度ライトは聞いた。だが、レインはそれに対してイヤイヤする子供のように首を振る。
「魔力が二なんて、使えるような魔法もありませんよ」
「それも、そうなのだが。そうなると、魔力が外に流れ出ているってことになる、のか?」
自分自身に言い聞かせるかのようにライトは呟いた。
たった二の魔力でも、今のレインにとっては貴重な魔力だった。それすら失われたという現実。では、その原因はどこにあるのか。
レインの手を握ったまま、ライトは考え込む。何もしていないのに魔力を消費してしまうという現象は聞いたことがない。
魔力鑑定のできる魔導士も限られている。魔導士団の中では団長と副団長クラス。だが、残念なことに現在の副団長にはそれができないらしい。つまり、魔導士団の中だけではトラヴィスだけ。
さらに研究所所属の魔導士でも上位クラスのみ。ライトだって魔導士団に入団していたら、トラヴィスと同じように団長クラスの力を持っている。
「レイン」
「はい」
「魔法を使ったか?」
「いいえ。どうかしましたか?」
ライトはレインの手を握ったまま黙っている。
「お兄様?」
「レイン。魔力が、無くなっている。今、お前の魔力はゼロだ」
「え」
レインは目の前が真っ暗になったように感じた。頭をガツンと何かで殴られたような気分だ。
「何か、魔法を使ったのか?」
もう一度ライトは聞いた。だが、レインはそれに対してイヤイヤする子供のように首を振る。
「魔力が二なんて、使えるような魔法もありませんよ」
「それも、そうなのだが。そうなると、魔力が外に流れ出ているってことになる、のか?」
自分自身に言い聞かせるかのようにライトは呟いた。
たった二の魔力でも、今のレインにとっては貴重な魔力だった。それすら失われたという現実。では、その原因はどこにあるのか。
レインの手を握ったまま、ライトは考え込む。何もしていないのに魔力を消費してしまうという現象は聞いたことがない。