魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「レイン」
トラヴィスが右手を伸ばしてきたので、レインは身体を寄せる。その手でぎゅっと抱きしめられる。
「また、この手で君を抱くことができてよかった」
「はい」
彼女は右手を彼の頬に添え、優しく口づける。やはり、彼は熱っぽい。
「トラヴィス様。今日は、もう、お休みください。私はここにおりますので」
レインが泣きそうな笑いを浮かべると、トラヴィスも困ったような笑顔を浮かべて、そして頷いた。トラヴィスは再び横になると、右手を伸ばしてきたので、レインはそれをしっかりと握りしめた。
ライトから話を聞いたときは、大切な人を失うかもしれない、という不安が押し寄せていた。彼を失うことなど考えられない。これから、彼と共に年を重ねていくと誓ったばかりなのに。
彼の右手を包む両手にはぎゅっと力が入ってしまった。
それに気付いたのか、トラヴィスが薄く目を開ける。
「レイン? どうかしたのか?」
「あ、いえ。その、なんでもありません」
「なんでもない、というような顔ではないな」
「それは、トラヴィス様が心配だからです。早く元気になってください。じゃないと、私」
不安で押しつぶされそうだ。胸が張り裂けそうだ。
「ああ。早く元気になって、また君を抱かないと、な」
「え?」
「魔力枯渇を起こしかけている」
トラヴィスが右手を伸ばしてきたので、レインは身体を寄せる。その手でぎゅっと抱きしめられる。
「また、この手で君を抱くことができてよかった」
「はい」
彼女は右手を彼の頬に添え、優しく口づける。やはり、彼は熱っぽい。
「トラヴィス様。今日は、もう、お休みください。私はここにおりますので」
レインが泣きそうな笑いを浮かべると、トラヴィスも困ったような笑顔を浮かべて、そして頷いた。トラヴィスは再び横になると、右手を伸ばしてきたので、レインはそれをしっかりと握りしめた。
ライトから話を聞いたときは、大切な人を失うかもしれない、という不安が押し寄せていた。彼を失うことなど考えられない。これから、彼と共に年を重ねていくと誓ったばかりなのに。
彼の右手を包む両手にはぎゅっと力が入ってしまった。
それに気付いたのか、トラヴィスが薄く目を開ける。
「レイン? どうかしたのか?」
「あ、いえ。その、なんでもありません」
「なんでもない、というような顔ではないな」
「それは、トラヴィス様が心配だからです。早く元気になってください。じゃないと、私」
不安で押しつぶされそうだ。胸が張り裂けそうだ。
「ああ。早く元気になって、また君を抱かないと、な」
「え?」
「魔力枯渇を起こしかけている」