魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
ライトが魔導士団の副団長に任命されたとは、トラヴィスの知らないことだった。いや、言われたのかもしれない。大臣か誰かに。だけど、レインのことが気になっていた彼は、その大事な話を聞き流していたのかもしれない。かもしれないではない、間違いなく聞き流していた。右から左に。
「ああ、だからか」
そういえば、数日前、ドニエルがすっきりした顔をしていた。肩の荷がおりた、というような感じで。
「そうなると、ドニエルは?」
「ドニエルは第一隊長。今の魔導士団の編成を大幅見直しするって。お前、何を聞いてたんだよ。粗方、レインのことが気になって、大事な話を全部聞き流していたんだろ」
その通りである。弁解のしようがない。
「こんなのが団長で大丈夫なのか」
「いや、だから。団長をお前に譲る……」
トラヴィスが言うと、ジロリとライトに睨まれた。
「ああ、だからか」
そういえば、数日前、ドニエルがすっきりした顔をしていた。肩の荷がおりた、というような感じで。
「そうなると、ドニエルは?」
「ドニエルは第一隊長。今の魔導士団の編成を大幅見直しするって。お前、何を聞いてたんだよ。粗方、レインのことが気になって、大事な話を全部聞き流していたんだろ」
その通りである。弁解のしようがない。
「こんなのが団長で大丈夫なのか」
「いや、だから。団長をお前に譲る……」
トラヴィスが言うと、ジロリとライトに睨まれた。