魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「お前な。そういうことは冗談でも口にするな。お前の実力は、他の奴らだって認めているんだ。ただ、変態なだけだって」
一言多いような気がするのだが。
つまりのところ、その変態を扱うことができる人間はライトとレインしかおらず。レインが不在となっている今、ライトが研究所の方から引き抜かれて、副団長に任命された、ということだ。彼としては、研究所に未練が無いわけでは無い。だけど、トラヴィスと一緒に仕事をこなすのも悪くはないかな、とも思っていた。彼とベイジルの資料を解読した時の楽しさと興奮は、学生時代を思い出させてくれた。
「それから、これはレインに渡しといてくれ」
同様に『辞令』と書かれた紙切れ一枚。こちらには『魔法研究所魔法薬学部所属』と記載がある。
「レインが、研究所に?」
トラヴィスはその紙切れをしっかりと両手で握るとわなわなと震えている。
「ライト。そんなに私とレインを離したいのか」
「違う違う」
ライトは右手をひらひらと振った。
「研究所所属の方が、何かと自由が利くからな。体調が良い時だけ、来ればいい。出産後は、研究所でも魔導士団でも、レインの好きな方に戻ればいいし。だから、それをよく見てみろ」
言われ、トラヴィスはもう一度その紙に視線を落とした。
一言多いような気がするのだが。
つまりのところ、その変態を扱うことができる人間はライトとレインしかおらず。レインが不在となっている今、ライトが研究所の方から引き抜かれて、副団長に任命された、ということだ。彼としては、研究所に未練が無いわけでは無い。だけど、トラヴィスと一緒に仕事をこなすのも悪くはないかな、とも思っていた。彼とベイジルの資料を解読した時の楽しさと興奮は、学生時代を思い出させてくれた。
「それから、これはレインに渡しといてくれ」
同様に『辞令』と書かれた紙切れ一枚。こちらには『魔法研究所魔法薬学部所属』と記載がある。
「レインが、研究所に?」
トラヴィスはその紙切れをしっかりと両手で握るとわなわなと震えている。
「ライト。そんなに私とレインを離したいのか」
「違う違う」
ライトは右手をひらひらと振った。
「研究所所属の方が、何かと自由が利くからな。体調が良い時だけ、来ればいい。出産後は、研究所でも魔導士団でも、レインの好きな方に戻ればいいし。だから、それをよく見てみろ」
言われ、トラヴィスはもう一度その紙に視線を落とした。