魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「私もね。レインを妊娠中はそんな感じだったわ。食べ物食べては吐いて、水を飲んでは吐いて」
「お母様も、ですか?」
「ええ」
ニコラはベッドの脇に座った。そしてレインの頭を優しく撫でる。
「そのたびにね、あの人が驚いて、慌てていたわ」
その目はどこか遠いところを見つめている。きっと、遠い過去。
「私、お母様からお父様の話を聞いたこと、あまり無いのですが」
「そうだっけ?」
はい、とレインは頷く。
「聞きたい?」
もう一度レインは頷く。
「そうねぇ。あの人、少しトラヴィス君に似ているかも」
そう言えば、そんなことを祖母も言っていたなとレインは思い出す。
それから久しぶりに、母親と話をした。時間を忘れるくらいに。
「お母様も、ですか?」
「ええ」
ニコラはベッドの脇に座った。そしてレインの頭を優しく撫でる。
「そのたびにね、あの人が驚いて、慌てていたわ」
その目はどこか遠いところを見つめている。きっと、遠い過去。
「私、お母様からお父様の話を聞いたこと、あまり無いのですが」
「そうだっけ?」
はい、とレインは頷く。
「聞きたい?」
もう一度レインは頷く。
「そうねぇ。あの人、少しトラヴィス君に似ているかも」
そう言えば、そんなことを祖母も言っていたなとレインは思い出す。
それから久しぶりに、母親と話をした。時間を忘れるくらいに。