魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
彼の顔に背を向けて、そこに座ると。
「できれば、君がそれを飲むところも見ておきたい」
と彼は言う。そう言われてしまったので、レインは座る向きをかえた。
彼女の顔の右側には、何か企んでいるような笑みを浮かべたトラヴィスの顔がある。
「飲ませてあげようか」
レインの背中に左腕を添えたトラヴィス。
「いえ、自分で飲めますから」
顔を赤らめてレインは答える。このトラヴィスという男は、たまにこういうことを口にする。
「そう?」
なぜか、彼は残念そうだ。
レインは魔力回復薬の瓶を手に取ると、それの蓋をキュポッと開けた。左手にそれを持ち、ゆっくりと口元まで運ぶ。誰かに見られながらこれを飲むというのは、非常に恥ずかしい。ゆっくりと口の中へ流し込む。嚥下しようとするとゴクリと喉が鳴る。その音が異様に大きく聞こえる。あまりにも緊張して、口元の右側から少しこぼれてしまった。恥ずかしい。
「こぼれているよ」
トラヴィスはレインの耳元で囁くと、それを自分の舌で拭い取った。
「と、と、と、トラヴィス様。何をっ、なさってるん、ですか」
あまりにもの出来事に、レインは動揺してしまう。
「レインがこぼしたから、ふき取ってあげただけだ」
トラヴィスは舌なめずりをする。
「やっぱり、普通の魔力回復薬のようだね。たった数滴でさえも、私の魔力は少し回復したようだ」
「できれば、君がそれを飲むところも見ておきたい」
と彼は言う。そう言われてしまったので、レインは座る向きをかえた。
彼女の顔の右側には、何か企んでいるような笑みを浮かべたトラヴィスの顔がある。
「飲ませてあげようか」
レインの背中に左腕を添えたトラヴィス。
「いえ、自分で飲めますから」
顔を赤らめてレインは答える。このトラヴィスという男は、たまにこういうことを口にする。
「そう?」
なぜか、彼は残念そうだ。
レインは魔力回復薬の瓶を手に取ると、それの蓋をキュポッと開けた。左手にそれを持ち、ゆっくりと口元まで運ぶ。誰かに見られながらこれを飲むというのは、非常に恥ずかしい。ゆっくりと口の中へ流し込む。嚥下しようとするとゴクリと喉が鳴る。その音が異様に大きく聞こえる。あまりにも緊張して、口元の右側から少しこぼれてしまった。恥ずかしい。
「こぼれているよ」
トラヴィスはレインの耳元で囁くと、それを自分の舌で拭い取った。
「と、と、と、トラヴィス様。何をっ、なさってるん、ですか」
あまりにもの出来事に、レインは動揺してしまう。
「レインがこぼしたから、ふき取ってあげただけだ」
トラヴィスは舌なめずりをする。
「やっぱり、普通の魔力回復薬のようだね。たった数滴でさえも、私の魔力は少し回復したようだ」