魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
だから、次の日。研究所へ行く前に魔導士団の執務室へと足を向けることにした。レインがいなくなってからは、すっかり足が遠のくようになった魔導士団の建物。なんとなく、雰囲気が以前と違うように感じなくもない。
執務室の扉をノックすると、返事は無かった。だが、鍵は開いていたので勝手に入る。
「おい、トラヴィス。いないのか」
「なんだ、お前か」
「いるなら返事くらいしろ」
トラヴィスの机の上には書類の山が五つほどできていたため、彼の頭しか見えなかった。
「なんだ、お前。書類をこんなにため込んで」
「レインがいないからだ。私一人では、さばききれない」
そう答える彼の顔にも覇気がない。
「はあ」
ライトは頭をかいた。以前、彼と言い合ったときには書類は机の端に綺麗に並べられていた一山程度。だから、ああやって言い合いができた。だが、今はどうだ。トラヴィスが書類に埋もれて今にも押しつぶされそうになっている。
執務室の扉をノックすると、返事は無かった。だが、鍵は開いていたので勝手に入る。
「おい、トラヴィス。いないのか」
「なんだ、お前か」
「いるなら返事くらいしろ」
トラヴィスの机の上には書類の山が五つほどできていたため、彼の頭しか見えなかった。
「なんだ、お前。書類をこんなにため込んで」
「レインがいないからだ。私一人では、さばききれない」
そう答える彼の顔にも覇気がない。
「はあ」
ライトは頭をかいた。以前、彼と言い合ったときには書類は机の端に綺麗に並べられていた一山程度。だから、ああやって言い合いができた。だが、今はどうだ。トラヴィスが書類に埋もれて今にも押しつぶされそうになっている。