魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「あ、お兄様」
思い出したかのように、レインは口を開いた。
「なんだ?」
「その、トラヴィス様はお元気でしょうか」
なぜか彼女の表情は曇る。
「気になるのか?」
「少し」
トラヴィスはレインの婚約者だ。気にならない方がおかしいかもしれない。それに、いまだ婚約解消にまでは至っていない。レインはそれも知っている。
「トラヴィスも、レインの魔力枯渇について調べてくれている。俺も調べているし。だから、もしかしたらレインの魔力も戻るかもしれない」
「そうなると、よいのですが」
テーブルの上に置いてある両手をきゅっと握りしめた。
「レイン」
ライトはその妹の両手に自分の手を重ねた。
「また、鑑てもいいか?」
「はい」
その返事からはあきらめ、というものが感じられた。だが、そのあきらめは現実だった。
「お兄様? どうでしたか?」
レインに声をかけられ、ライトはふと我に返る。
「うん、魔力はゼロのままだ」
「そう、ですよね」
レインは力無く笑っていた。
思い出したかのように、レインは口を開いた。
「なんだ?」
「その、トラヴィス様はお元気でしょうか」
なぜか彼女の表情は曇る。
「気になるのか?」
「少し」
トラヴィスはレインの婚約者だ。気にならない方がおかしいかもしれない。それに、いまだ婚約解消にまでは至っていない。レインはそれも知っている。
「トラヴィスも、レインの魔力枯渇について調べてくれている。俺も調べているし。だから、もしかしたらレインの魔力も戻るかもしれない」
「そうなると、よいのですが」
テーブルの上に置いてある両手をきゅっと握りしめた。
「レイン」
ライトはその妹の両手に自分の手を重ねた。
「また、鑑てもいいか?」
「はい」
その返事からはあきらめ、というものが感じられた。だが、そのあきらめは現実だった。
「お兄様? どうでしたか?」
レインに声をかけられ、ライトはふと我に返る。
「うん、魔力はゼロのままだ」
「そう、ですよね」
レインは力無く笑っていた。