魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「なあ、ライト」
トラヴィスが顔だけをライトに向け、その名を呼んだ。
「お前の屋敷に行ってもいいか?」
突然、トラヴィスがそんな提案をしてくる。
「んあ? 来てもいいが、レインはいないぞ」
わざとそう答えるライト。
「お前の屋敷に行くのは、レインが目的ではない。むしろ、ベイジル様の資料だ」
「は?」
「ベイジル様がレインの父親だというなら、お前の義母親がベイジル様と結婚していたってことだろう? そうなると、そこにあるような気がするのだが?」
「だが、うちの書斎には無かったぞ?」
「お前の目は節穴かもしれんからな。私も自分の目でそれを確認したい」
いつぞやのトラヴィスはどこに行ったのやら。毒舌を吐く余裕まで出てきたのか。
「だったら今日、久しぶりに泊っていくか? お前と飲み明かすのも悪くは無いな」
「ふん」
と言ってトラヴィスは立ち上がった。
「お前もレインがいなくて寂しいんだろ? 仕方ないから付き合ってやる」
ひらひらと肩越しに手を振って、部屋を出ていく。
ライトは思わず、笑みをこぼしてしまった。
無理やり彼をレインと引き離した形になってしまったけれど、それでも普段の彼を取り戻してきたようで少し安心した。
トラヴィスが顔だけをライトに向け、その名を呼んだ。
「お前の屋敷に行ってもいいか?」
突然、トラヴィスがそんな提案をしてくる。
「んあ? 来てもいいが、レインはいないぞ」
わざとそう答えるライト。
「お前の屋敷に行くのは、レインが目的ではない。むしろ、ベイジル様の資料だ」
「は?」
「ベイジル様がレインの父親だというなら、お前の義母親がベイジル様と結婚していたってことだろう? そうなると、そこにあるような気がするのだが?」
「だが、うちの書斎には無かったぞ?」
「お前の目は節穴かもしれんからな。私も自分の目でそれを確認したい」
いつぞやのトラヴィスはどこに行ったのやら。毒舌を吐く余裕まで出てきたのか。
「だったら今日、久しぶりに泊っていくか? お前と飲み明かすのも悪くは無いな」
「ふん」
と言ってトラヴィスは立ち上がった。
「お前もレインがいなくて寂しいんだろ? 仕方ないから付き合ってやる」
ひらひらと肩越しに手を振って、部屋を出ていく。
ライトは思わず、笑みをこぼしてしまった。
無理やり彼をレインと引き離した形になってしまったけれど、それでも普段の彼を取り戻してきたようで少し安心した。