魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「お前。今日、泊っていくんだよな」
ライトがジロリとトラヴィスに視線を向けた。それに対して、トラヴィスは頷いた。
「あら、だったらお部屋の準備をしなければならないわね」
ニコラはなぜか楽しそうだった。
ニコラの突然の帰宅と、突然の来客にも黙って対応する優秀な使用人たちによって、彼らの寝泊まりする部屋は確保されたわけだが。
トラヴィスは書斎のソファに深く座って、ベイジルの資料をじっと眺めていた。まったくもって、わからん。
「飲むか?」
とライトが差し出したのは、そう、お酒だ。そういえば、今日は飲み明かそうと言っていたような気がするのだが。
「飲む」
トラヴィスは答えた。
「これらの資料を探すだけだって、俺は二月もかかったんだ。そんな簡単に解読なんかできないだろ」
酒を注ぎながらライトが言った。
「そうだな」
トラヴィスは顔の高さまであげたグラスを、ライトのそれにカツンとあてる。
「なんか、わかったか?」
ライトはトラヴィスが眺めていた資料を覗き込む。
「いや、全然。まったくもって、何もわからん。ライトのほうは?」
「俺もさっぱり、わからん」
そこでライトはグラスをくいっと傾けた。喉に熱い液体が流れ込んでいく。
熱くなる身体だが、頭はなぜかすっきりとしてくる。
「これは一日二日で解読できるような内容ではないな」
パサリと資料をテーブルの上に投げ出した。
ライトがジロリとトラヴィスに視線を向けた。それに対して、トラヴィスは頷いた。
「あら、だったらお部屋の準備をしなければならないわね」
ニコラはなぜか楽しそうだった。
ニコラの突然の帰宅と、突然の来客にも黙って対応する優秀な使用人たちによって、彼らの寝泊まりする部屋は確保されたわけだが。
トラヴィスは書斎のソファに深く座って、ベイジルの資料をじっと眺めていた。まったくもって、わからん。
「飲むか?」
とライトが差し出したのは、そう、お酒だ。そういえば、今日は飲み明かそうと言っていたような気がするのだが。
「飲む」
トラヴィスは答えた。
「これらの資料を探すだけだって、俺は二月もかかったんだ。そんな簡単に解読なんかできないだろ」
酒を注ぎながらライトが言った。
「そうだな」
トラヴィスは顔の高さまであげたグラスを、ライトのそれにカツンとあてる。
「なんか、わかったか?」
ライトはトラヴィスが眺めていた資料を覗き込む。
「いや、全然。まったくもって、何もわからん。ライトのほうは?」
「俺もさっぱり、わからん」
そこでライトはグラスをくいっと傾けた。喉に熱い液体が流れ込んでいく。
熱くなる身体だが、頭はなぜかすっきりとしてくる。
「これは一日二日で解読できるような内容ではないな」
パサリと資料をテーブルの上に投げ出した。