魔力を失った少女は婚約者から逃亡する
「婚前交渉するぞ?」
 ライトがジロリとトラヴィスを睨んだ。
「それがダメだと言うなら、結婚させてくれ」

 ライトは大きく肩で息をつくと。

義母(はは)を呼んできてもいいか」

「かまわない」
 ライトは立ち上がると、一度書斎を出ていく。そして、次に戻ってきたときにはニコラを背中に連れていた。

「義母さん。レインを助ける方法がわかったらしいのですが、俺一人では判断できなくて」
 と言って、連れてきた。
 ニコラを先に座らせ、彼女の隣にライトが座る。

「それで、レインを助ける方法とは?」
 ニコラも少し興奮しているのだろう。頬を蒸気させている。

「これを見てもらってもいいですか?」
 口に出すことがはばかれるため、やはりライトもニコラに資料を手渡した。ニコラは不思議そうに首を傾けながら、それに目を通す。
 彼女がそれを読んでいる間にライトはお茶を淹れ、母親とそしてトラヴィスの前に置いた。自分には酒を注ぐ。
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