闇夜ヨルの恐怖記録 4
ユウナは体の力を失って椅子に座り込んでしまった。


なにもかもがどうでもよくなってしまった気分だ。


両親の喜ぶ顔とか、受験とか、もう、どうでも――。


「ごめん!」


途端に2人がユウナへ向けて頭を下げてきた。


ユウナは理解できずにまばたきを繰り返す。


「あんな噂を流されてクラス内で孤立して、初めてユウナの気持ちがわかった」


キミの声は震えていた。


「あの電話を見つけ出して使ってしまうくらい、ユウナを追い詰めたのは私達だから」


サエの声も震えている。


それでもユウナはまだ理解が追いつかなかった。


この2人が自分へ向けて頭を下げているのが信じられず、夢を見ているような感覚だ。


だけどそのとき思い出した。


昨日真実の電話ではキミが謝りたがっていると言っていた。


あれは本当だったのかもしれない。


「勉強だって本当はできるのに、私たちのせいでできなかったんだよね?」


顔をあげたサエの目には涙が流れていた。


サエは人一倍勉強をしてきたから、ユウナの頑張りを邪魔してきたのだと知ってショックだったのだ。
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