闇夜ヨルの恐怖記録 4
それなのになんの不満があるっていうんだろう。


『私達は普通だから一緒にいられるわけ?』


いけないと思いつつ、ユキコの声が険しくなった。


それに気がついたマヤちゃんがハッとして顔を上げる。


『そ、そうじゃなくて』


慌てて弁解をしようとしたが、ユリがそれを遮るように立ち上がった。


『もういい、私達もう帰るから』


『そんな!』


『お嬢様はやっぱりお嬢様と友達になったほうがいいんじゃないの?』


玄関を出る時ユキコはバカにした声でそう言った。


完全な妬みだった。


たくさんの本を持っていて、たくさんの本を読んでいるお嬢様なマヤちゃんが羨ましかっただけだった。


だけどそれで3人の関係にはヒビが入ってしまったのだ。


そう簡単に修復することのない、大きなヒビが。
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