闇夜ヨルの恐怖記録 4
☆☆☆

「マヤは本当に本が好きな子なのよ」


客間に通された2人は重厚感のある大きなソファに座って、出された紅茶を飲んでいた。


玄関を開けてくれて女性はマヤちゃんの母親で、2人の前に座ってさっきからマヤちゃんの話しばかりをしている。


「そうですね。私達もよく本を貸してもらっていました」


ユキコは緊張をさとられないよう、必死に笑顔を浮かべて受け答えをする。


どれだけ紅茶を飲んでみてもすぐに喉が乾いてしまう。


マヤちゃんは今どうしているのか?


その質問が何度も喉から出かかっているのに、出てきてくれない。


「マヤが一番好きだったのは冒険小説なんだけど、2人とも読んだ?」


マヤちゃんの母親は白いフリルのついたブラウスと、紺色の足首まであるスカートをはいている。


家の中での服装とは思えなくて一瞬戸惑ったが、マヤちゃんの母親はいつでもこういう服装をしているようだった。


ソファに座って会話をする仕草もとても優雅で、生まれてからずっと裕福な家庭で育ってきたのだと連想させた。


「はい。マヤちゃんが貸してくれました」


答えたのはユリだった。


「そうだったのね。あの子にもあなたたちみたいな友達がいて、安心したわ」
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