闇夜ヨルの恐怖記録 4
「マヤちゃん……!」


人形にすがりつくようにして両手を伸ばしたときだった。


ベッドの上から誰かの寝息が聞こえてきてユキコが涙を拭った。


天蓋の奥から規則正しい呼吸音が聞こえてくる。


誰……?


マヤちゃんのお父さんとか、おばあちゃんかもしれない。


だとしたら勝手に部屋に入ってしまったことを謝らないと。


そう思って相手を起こさないように天蓋を開けたその時、ユキコはまた悲鳴をあげてしまいそうになった。


ベッドに眠っていたのは白い顔をしたマヤちゃんだったのだ。


マヤちゃんはクリーム色のネグリジェを着せられていて、本当にただ眠っているだけのように見える。


けれどベッドの横には点滴用の棒が置かれているし、見たことのない医療機材も置かれている。


これは一体どういうことなんだろう?


「マヤよ」


突然後から声がして飛び上がって驚いたあと、振り向いた。


そこにはマヤちゃんの母親とユリが立っていた。


母親は揺り椅子の人形を大切そうに両手で抱えて抱っこすると、その揺り椅子に自分が腰掛けた。


「そろそろあの時のことを教えてあげるわね」


そう言うと、遠い目をして辛い過去を語り始めたのだった。
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