恋行き電車パスポート
ビンの中身を手のひらに出し、両手で半分にして片方の手のひらを砂浜に向けた。


バサッと少量の星の砂が落ちていく。
片方の手の星の砂は、ビンに戻してふたをした。

「その採れる星の砂はね……」

よいしょっとしゃがみ、手を伸ばしてぴとっと手のひらを砂浜につけた。


「赤いんだ」

思わず近寄って、少し距離を取りながら隣にしゃがむ。

「見てみて、いっぱい採れたよ」

手のひらをひっくり返すと、確かに赤いものがたくさんキラキラと光っていた。


試しに俺もやってみると、確かに採れる。

二、三回やるとかなりの量が採れた。

砂は元に戻して、星の砂だけ遠くのほうにいた皆見あいねのところまで行って渡す。

「いいの?」

「俺が持っててもしょうがないし」

「ありがとう、清水くん」

その拍子に彼女の手が触れる。
< 16 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop