恋行き電車パスポート
駅に戻って時間を確認すると、結川駅方面の電車がちょうど三十分後に出る時間だった。
そこの公衆電話で学校に電話をかけ、事情を説明した。
親にバレる前に正直に言おうと思い、家にも電話をかける。
そこで怒られたから、家では怒られないように。と願った。
皆見あいねも見た様子では二回電話をかけていたようだった。
学校の最寄り駅までの切符を買って、俺たちは電車でボックス型の向かい合わせの席に座る。
出発してからすぐ、目の前で寝息が聞こえた。
「えっ、まさか寝た……?」
そのときの寝顔がめちゃくちゃ可愛かったことは、本人には絶対言えない。
窓の外から見える海が少し寂しく思えたのは、きっと気のせいだろう。