恋行き電車パスポート
一か八かの選択
起きたら、知らない風景を見ていた。
(なっ、どこだよここ……!)
窓の外はキラキラと輝く一面の真っ青な海。
周りにいたはずの高校生や社会人もいない。
この車両に、人が誰もいなかった。
状況を整理しよう。
たぶん俺は…………。
寝過ごした。
「まもなく終点~、赤浜駅~、赤浜駅~」
あか、はま……。
つまり俺は、ガッツリ終点まで寝てしまったのだ。
いつだか、駅でももなに思った言葉をそのまま自分へ返して殴りたい。
まじで、なにしてんの……。俺。
寝る前のことを覚えていないわけではない。
むしろ、今起きた出来事のようにはっきりと覚えていた。