恋行き電車パスポート
「終点~、赤浜駅~、赤浜駅~」


俺は電車から降り、ホームを歩き始めた。
見た感じ、ここの車両は改札から一番遠いところだ。


海独特の香りが鼻をくすぐる。

無人駅で1時間半に一本ときどき終点の赤浜駅。
無人駅って、ほんとに誰もいないんだな。

平日のこの時間じゃ当然だろうけど。


手すりの向こうには、すぐ海が広がっている。
毎朝俺の見る町並みとは、また違う綺麗さだ。


大変な状況で景色に感動する自分のマイペースさに呆れながら、黙々と歩いた。

そろそろ改札に着く……。と思った瞬間、俺の身体がビクッと反応した。
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