最愛ジェネローソ
そして、勇気を振り絞って渡した連絡先が、功を奏し、見事、彼女の方から電話をくれたのだ。
あの恥ずかしがり屋で、誰も自分の領域に入ってくることを許さない雰囲気だった、彼女が。
その後、数回、夜ご飯に誘った。
驚いたことに、一度も断られることはなく、ちゃんと来てくれた。
そして、食事だけではなく、1日デートの約束を取り付けた日。
夢物語のような、だけど、待ち侘びていた、その時はとうとうやって来た。
『今も……好き、なんです、どうしても』
中学生の頃、あれ程、感情表現が苦手だった筈の彼女が、声を震わせながら、確かにそう告白してくれた。
俺だけの為に。
気持ちが、ようやく通じ合ったと実感して、俺が泣きそうだったのに、先に彼女に泣かれた。
それが嬉しくて、愛しおくて、堪らなかった。
涙を流す彼女を抱き締めたいと思ったが、残念ながらやはり当時の俺は、そんなに器用ではなかったのだから、仕方がない。
背中を擦るくらいしか出来なかった。
それでも彼女は一切、嫌がる様子はなく、徐々に落ち着いていく。
そして、とうとう泣き止むと、頬を赤く染めて、恥ずかしそうにはにかんで、また詫びてくる。
初めて見せてくれた、そんな彼女の表情に思わず見惚れた。
そうして、俺たちの関係は、再び繋がり、始まった──。