愛が欲しかった。
 プロローグ

 母親の妹である叔母の九条香りとぼくが関係を持ったのは中学を卒業してすぐのことだった。15歳も年上の女性に対してぼくはそういう性的な眼差しなど向けたこともなければ、まして母親の妹を異性としてみるわけもなかった。けれど、そういう関係になってしまったのは、ぼくの脇の甘さと言うべきなのか、もっと拒絶してしまえば良かったのかもしれないが、迫る色香の甘い誘いにぼくは易々とくっしてしまった。
 その日の叔母は仕事で嫌な事があったのか、プライベートで嫌な事があったのか、わからないけれど、とても荒れていて、玄関を開ける音でぼくは香りさんが荒れている事がわかったのだった。
「まこちゃんまこちゃんどこにいるの?水を持ってきてくれない」
 香りさんはぼくをまこちゃんとちゃんずけで呼ぶ。それは香りさんがぼくを幼い子供と認識しているようなきがしていた。それ自体は悪い事ではないのだけれど、ぼく自信は彼女に対してどう接していいのか距離感を図りづらい要因の一つでもあった。
 流石にもう高校生に上がるのだからいつまでも子供扱いというのも居心地が悪い。だからといってどこまで距離を縮めていいのかわからない。
 ぼくは香りさんの家に引き取られる前は、父方の親戚、父親の弟の家に住まわせて貰っていた。しかしそこには子供が二人いて、その子供が同年代の女の子ということもあり、ぼくは小学校を卒業すると同時に追い出されてしまった。
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