愛が欲しかった。
 2

 ある日、学校に行くと、浜下から放課後に付き合ってくれと言ってきたのだった。
「別に用事はないけど、どこに行くんだよ」
「お前、森本って知ってる?」
「ああ、知り合いではないけど知ってる」
 森本 めぐみ。小太りな女生徒で隣りのクラス。はっきり言って良い噂が全くといってない。聞こえる噂はパパ活に遠交に虐め。いわゆる不良女子のリーダー的存在の女子だ。
「森本がさ、ピアス買ってくれるって言うからお前も着いてきてよ」
「え?やだよ」
 ぼくは誰にも見せないような嫌な顔を浜下に向けた。だってそんな奴とかかわりを持っていい事があるとは思えない。それよりかトラブルに巻き込まれそうで嫌だ。
「頼むよ。俺も二人では行きたくないし、武本に誤解されるのもやだしさ」
「嫌なら断れよ」
「そこは新しいピアス欲しいじゃんよ」
 なにがじゃんよだ。確かにピアスは高校生にとっては高価なものかもしれない。けれど、武本が好きなら我慢するべきだと思う。ぼくがいたからってなんの解決にならない気がするんだけれど、付き合ってるわけではないから問題はないのかもしれないな。
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