愛が欲しかった。


 ちょっとした関わりが自分の世界を大きく変えることもある。特に友人はその影響を強く与える存在なのではないだろうか。昨日の出来事はそれを顕著に表していると思う。特に森本という存在に出会わなければ、ぼくは万引きなどといった卑怯な犯罪に関わることなどなかったはずだ。そのことに関してだけは、浜下に少なからず恨み節の一言でも言ってやりたいと思う。
「昨日は本当に悪かった」
 恨み節を言う前に先手をうたれ、ぼくは吐き出すべき文句を飲み込んだ。どうやら浜下はぼく以上に昨日の出来事を気にしているようだった。ぼく自信は誤解も取れたことによりそれほど気にしてなかったんだけれど、巻き込んだ張本人は自責の念に駆られているようにみえる。
「もういいって、それに巻き添えくったことは、香りさん、親戚の人にも分かってもらえたしな」
 そういうと浜下はそうかと言って納得した。

 それから浜下は毎朝の日課、武本に挨拶を交わすも、少しだけ元気がない様子だった。
「どうした?なんか元気がないな」
 そういうと、浜下は真剣な表情をした。
「嫌、やっぱり武本に昨日ことがばれたらとおもうと気が気でないんだよ」
「巻き込まれただけだろ」
「違う、俺が森本にピアスを買って貰ったことがだ」
 何を今更なことを言ってるんだと突っ込みたくなる。
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