愛が欲しかった。
深夜になって香りさんが自室に入る音をきいて、ぼくは香りさんの寝室に向かった。香りさんを抱きたいという欲求が爆発したからだった。部屋に入ると電気は消えていて、香りさんは就寝しているように見えた。それでもぼくは、そっと忍び込むようにして、香りさんのベッドに潜り込む
そっと香りさんの腰に腕を回した。
「どうしたの?」
「したい」とぼくは言った。
「ごめん、今日はそういう気分じゃない」
そういうと、香りさんは腰に回したぼくの腕を振りほどく。それでもぼくは、香りさんの性感帯を刺激すれば、そういう気分になってくれるんじゃないかと思い、香りさんの乳房を優しく刺激する。
「やめて」
そういう香りさんを無視してぼくは指を香りさんの下半身へと深く潜りこませる。
「やめろって言ってんでしょ。」
「好きなんだ。香りさんのこと」
初めて自分の思いを告白した。だけど行為の最中の好きって言葉ほど軽い告白はなかった。やりたいから言ってるようだし、実際にそういう気持ちもあった。
「馬鹿なこと言ってんじゃないわよ。」
ぼくの告白は馬鹿な事だと一蹴されてしまった。
「ごめんなさい。」
ぼくはそう言って自室に戻った。
(馬鹿なんだから、誠の気持ちぐらい分かってるわよ)