愛が欲しかった。
女々しくて嫌になる自分を変える必要があると思ったぼくは、放課後に行動をおこした。勝負はチャイムがなってすぐだと午後の最終授業が終わるのを今か今かとまった。やろうとしていることはお節介のほかならい。ぼくはチャイムの音と同時に席を立つ。まだ授業の締めに入っていない先生が驚いた表情を浮かべているが無視をした。
「武本さん、ちょっといいかな」
そうきかれた武本は不意をつかれたことに驚きをかくせないようだった。
「なにかな、九条君」
見るからに武本の鼓動が早く高鳴っているのがわかる。それを見て誤解を与えてしまったと思った。まるでぼくが今から告白でもするようだった。クラスメイトもそう思ったにちがいない。
まいったなと、ぼくは後頭部をさする。
「いや、この後暇ならみんなで遊びに行かない?」
「うーん。みんなって誰?」
訊かれて、こまるぼく。みんなと言ったが、浜下しか考えていないのだ。
「浜下とそうだな」
周囲に目を配る。丁度よく藤本が席を立ったので、ぼくは咄嗟に藤本の名前をだした。どうせ誘うなら美人なほうがいい。
「藤本さんね、藤本さんはこの後暇なのかな?」
「わからない」
このままでは断れそうな雰囲気が漂うのがわかった。
「武本、ぼくは藤本に興味があるというか、少し惹かれてるんだよ。出来たら協力して欲しい」
そういうと武本は驚いた表情をして、
「そうだったの。そうね、藤本さんに訊いてみるね」と言った。
女子は恋愛に対して世話をやくのが好きな事が多い。それは中学時代に学んでいた。