愛が欲しかった。
店内を後にして、外は少し薄暗い。このまま解散しようと言った武本にぼくは浜下に送って行くように促した。
「藤本はぼくが送って行くよ」
そう言うと、藤本は小さく頷いた。浜下達と別れて、ぼくは藤本と並んで歩く。
「そこのバス停まででいいから」
「別にうちまで送って行くよ」
あまり早く帰りたくない。朝、香りさんを無視して出てきたのだから。
「大丈夫だよ。バスを降りてからすぐに家があるから」
これ以上、ひつこく言うのは迷惑になるだろう。
「わかったよ。バスが来るまでってことで」
「うん、ありがとう。本当に今日は楽しかった」
「ぼくも楽しかった」
お互いに顔を見合わせると凄く照れくさくなった。藤本の顔も赤くなっているように見えた。
こういう高校生らしいデートもいいもんだな。ぼくはそう思った。
ほどなくしてバスがやってきた。すこし名残惜しい気持ちだった。藤本はバスに乗り込んで、見えなくなるまでぼくに手を振っていた。
藤本と付き合えたら楽しいのかもと思ったが、純粋な藤本と付き合うには、ぼくは汚れているような気がしていた。叔母と関係を持っているぼくが今更…………な。