愛が欲しかった。
 言われて想像相手を目の前の浜下に絞った。
「おい、おまえ武本が好きじゃなかったのか?」
 と、おどけて言った。
「ふ、俺で想像したのか、ムカついてきただろう」
「ああ、お前には取られたくないな、色んな意味でな。」
「大丈夫だ、俺は藤本みたいな子はタイプじゃない」
 このロリコンめ。そう言うと武本にたいして失礼か。しかし、言葉でそう言っても想像だけではあまりピンと来なかったが、今まさに浜下の言っている意味がわかった。

 藤本が男子と談笑している。それをみた瞬間にこめかみあたりが熱くなったのだった。これは間違いなく嫉妬だった。

「ああ、今わかった。ぼくは藤本に少し惹かれているようだ、今中村をしばいてやりたい気分だよ」
 中村とは今藤本と談笑しているクラスメイトだ。長身でオシャレな生徒で女好きだとわかる。中村が話しかけるのは決まって女子と決まっている。
「ああ、あのクソ野郎な。俺も好きじゃないな」
「でも女子には人気ありそうだよな」
「そうなのか?」
 ぼくの言葉が信じられないといった感じに驚く浜下。
「ぼくたちよりは人気あると思うよ、なんだかんだ言ってもオシャレだし、真面目で優しそうに見えるからな」
「そうか、俺は友達にはなれないタイプだな。あいつに男の友情を期待できない」
 それについては同感だった。友情より欲望を取りそうだ。
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