愛が欲しかった。
「最近、よく藤本と話してるな」と浜下が言うように、藤本とよく話すようになった。ちょっとした隙間の時間があると藤本と話しをするように意識して行動をしている。別に恋愛感情が感極まったとかじゃなく、話しやすいというか、話してて楽しいからだった。
「おまえも武本とよく話してるじゃないか」
「ああ、あのカラオケ以降、話すのに緊張しなくなってな」
クラスメイトと話すのに緊張していたのかと驚いた。
「どちらかと言えば武本のほうが緊張してたとおもう」
「どういう意味だよ」
「そのずうたいは、プレッシャーを与えるんだよ」
浜下は自分の体格を見つめる。腹のほうをさすりながら、
「ダイエットでもするか」と呟いた。
ぼくはできないだろうと思い、浜下の肩に手を置いて、
「おまえはそのままのほうがカッコイイとおもうぞ」とフォローを入れた。
「しかしなぁ、武本と話しててもピンとこないんだわ」
「ピンとこないって」
「好きなもの同士って、なんか通じるもんがあるだろ?それが全く感じられないんだよなぁ。諦めるべきかなぁ」
大きく椅子にもたれながら言った。惹かれあう者同士は通じるものがある。よく聞く話だが惹かれあうタイミングがづれることもあるだろう。
「諦めるなら玉砕して、自爆しろ。骨は拾ってやるから」
「できるか、同じクラスなんだぞ、この一年間が地獄になるわ」
「いつになったら告るんだよ」
「それは、ピンときたらだよ」
ようはふられない確約ができるまでということか。