愛が欲しかった。
こうしてみるとどんなに屈強な肉体を持っていてもメンタルの強さは別ということが伺える。特に見た目だけで言えば、浜下など、他人の目など気にせずにガンガン好きな女の子にアタックしても違和感などなさそうにも見れる。けれど、振られる事で起こるデメリットをちゃんと考えているんだなと、ぼくは失礼ながらに思った。確かに振られるデメリットとして、浜下の言うように一年間は気まずい関係を強いられるのは間違いない。それに、振られたという事実はクラスメート達のかっこうの話のネタになるのは間違いない。
だから上手くいくという確約が欲しい気持ちもわかる。
だけど、本当にこれでいいのだろうかという思いがぼくの中にはあった。
誰かに取れられた時の行き場のない思いはどうするのだろう。そうなった時、必ず後悔しそうだ。ぼくなら後悔する。気持ちを伝えていたら未来は変わったのではないだろうかと、そう思ってしまうに違いない。けれど、浜下は諦める方向に向かってある。自己完結に持って行くには早計すぎるような気がして心にモヤモヤが残る。
いっその事、ぼくが武本に訊いてみることも考えたが、それは余りにも直接すぎる。ならば……ぼくにできる最善の策は決まっていた。