愛が欲しかった。
どうやら浜下は入学式のぼくをみたらしく、不躾にもホームルームの最中にぼくに質問をしてきたのだった。下卑た表情を浮かべているあたり、バカにしているのは見え見えで、少しだけムッとなったぼくは少し強い口調で否定した。
「そんなわけあるか。香りさんは母親なんかじゃない。親戚だ。……それにぼくに両親はいないよ。幼い頃に死んだからな」
そういうと浜下はばつのわるそうな表情を浮かべ「なんか悪かったな」と言った。
その言葉を訊いてぼくは少し卑怯な真似をしたと後悔した。親の死で同情を引いてしまったと。
「ああ、気にする必要はないさ、ぼく自身、親の顔も覚えていなければ、いつ死んだのかも覚えていないんだ。親不孝者なんだから」
言って本当に親不孝だなと実感する。向けられたであろう愛情を何一つ覚えていないのだから。
「じゃあ、入学式の美人が親代わりというわけか」
と、浜下は言う。その言葉にぼくは少しだけ頭を悩ませるのであった。
今現在は香りさんと暮らしているがその前は他の親戚と暮らしていたし、もっと幼い頃には祖父と暮らしていたらしい。その頃の記憶はまるでないのだけれど、ぼくは実際に祖父の養子ということになっているようだった。
「そうだなぁ、養父は祖父になっているが暮らしているのは香りさんだな」
ぼくがそういうと、浜下は面倒くさくなったのか、ややこしいなと言ったのだった。
「そんなわけあるか。香りさんは母親なんかじゃない。親戚だ。……それにぼくに両親はいないよ。幼い頃に死んだからな」
そういうと浜下はばつのわるそうな表情を浮かべ「なんか悪かったな」と言った。
その言葉を訊いてぼくは少し卑怯な真似をしたと後悔した。親の死で同情を引いてしまったと。
「ああ、気にする必要はないさ、ぼく自身、親の顔も覚えていなければ、いつ死んだのかも覚えていないんだ。親不孝者なんだから」
言って本当に親不孝だなと実感する。向けられたであろう愛情を何一つ覚えていないのだから。
「じゃあ、入学式の美人が親代わりというわけか」
と、浜下は言う。その言葉にぼくは少しだけ頭を悩ませるのであった。
今現在は香りさんと暮らしているがその前は他の親戚と暮らしていたし、もっと幼い頃には祖父と暮らしていたらしい。その頃の記憶はまるでないのだけれど、ぼくは実際に祖父の養子ということになっているようだった。
「そうだなぁ、養父は祖父になっているが暮らしているのは香りさんだな」
ぼくがそういうと、浜下は面倒くさくなったのか、ややこしいなと言ったのだった。