私の周りにヤンデレしかいないんだが
甘ったるい液体が喉を勢いよく通過し、咳き込んでしまう。でも、その様子を見ていた雫ちゃんは嬉しそうだ。

「何が起きたか報告してね。この薬の効果、一週間くらい続くみたい」

それだけ言うと、雫ちゃんは「習い事があるから」と先に帰っていく。人に変なものを飲ませておいて帰るのか、と言いたかったけど咳が治らず言えなかった。

「……一体何なの、さっきの薬」

説明書などはついていなかったし、雫ちゃんも持っていなかったようだ。ますますヤバいものを飲まされたのでは、と不安になってしまう。

その時、教室のドアが開いた。振り返ると、華奢で色白で目がぱっちりした女の子のような顔立ちのブラウンの髪の男子がいる。友達の愛月十(あいづきみつる)くんだ。

「あれ?美紅ちゃん、まだ残ってたの?」
(ラッキー!美紅ちゃんに会えた!)

「えっ?」

何だ今の。十くんが喋った後、十くんは口を開いてないのに声が聞こえた。何が起きたの?
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