先生×アタシ×先生
歌乃sido

教室に戻る途中、新担任の九重尚輝と会った。

「葉月さんだよね?さっきの伴奏素晴らしかったよ〜。頭髪服装はどうした〜?髪、…」

歌乃は九重の会話を遮り、怒鳴った。

「1発目の会話がそれ?もうお前の第一印象ゴミだ!!!」

いつもサボる時行く、屋上まで走って逃げた。

イケメンだと思ったアタシがバカだった。
先生はやっぱり中身は同じ。


屋上は曇ってるせいか、寒かった。


「寒いからピアノ室でも行って練習しよう」

ピアノを弾いていると嫌なこととか全て忘れる。ピアノは誰にも負けたくない、アタシにはピアノしかないんだから!!

ピアノを弾いて気持ちが落ち着いた。


歌乃が気持ちよくピアノを弾いていると、ピアノ室をのぞく影があった。

「何みてんだよ!なんか用?」

歌乃が怒鳴った。

トントン。

「あけるよ〜。失礼します〜。」

ガチャ。

新担任の九重だった。

「なんで逃げるのさ〜。俺の話最後まで聞いてよ。」

「先生なんて馬鹿の一つ覚えみたいに同じことしか言わないから、聞かなくてもわかる!」

大声を出したら、貧血気味なのか頭がボーーーっとする。

九重の声も遠くなる気がした。これは倒れる。
でも先生のまえで倒れるなんてダサ過ぎ。

絶対嫌だ。

「うるさい!アタシに関わるな!!」

歌乃はとっさに捨て台詞を言い、ピアノ室を出て廊下を曲がり、そこで体の力が抜け、しゃがみ込んでしまった。


「葉月さん〜!すぐ逃げるんだから〜!」


「葉月さ〜ん!」


九重がアタシを探してる声が微かに聞こえる。


その声がだんだん大きくなっている。


でも体の力が入らない。このままだと見つかってしまう。意識が遠のいていく、どうしよう。



「おい!葉月さんどうした??」


「うぅんん……なんでもない…あっちいって」


動けない。力が入らない。これ以上話せない。
先生の声もだんだん遠くなっていった…
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