平凡女だってイケメンが欲しい
希さんの仕事場を見学すると約束した日の前日。
明日着ていく服装を悩みに悩んだ末に決め、翌朝お化粧もバッチリして準備万端!意気揚々と現場に向かった。
現場で希さんと合流し、そこからは希さんに着いて回った。そこは今まで見聞きしたことのないようなとても華やかな世界だった。しかしその幸せな時間も一瞬。何故か途中から希さんのいない隙間時間にちょっとした雑用を頼まれ始め、気づいたら希さんの仕事見学をそっちのけにして、頼まれた雑用の処理に追われていた。(素人に頼むか普通...)
やっとひと段落ついた頃には既に沢山の雑用をこなし終えた後で、髪はボサボサ、お化粧も撚れ、服も所々汚れが目立っている。
「こんなはずじゃなかったのに...」
つい本音が口から出た。ちょうどその時、私のいるスタジオの入口が騒々しい事に気づいた。少し近づいて見てみると、その中心にいたのはなんとあの有名な俳優
【新堂歩】だった。
芸能人に会えたことへの興奮で周りが見えなくなっていた為、当然足元に伸びていたコードになど全く気付かなかった。彼の方へと一歩足を踏み出した途端に、足に何か線状のようなモノが引っかかる感覚を覚えたと同時に「ギギギー」とした嫌な音が聞こえ、そのまま
「ガッシャーン!!」
何か重い物体が落ちたような音がスタジオ内に響きわたりスタジオ内は一気に静まった。周りの視線が一点に集まっている。恐る恐る後ろを振り向くと、やはり撮影の機材がドミノ倒しのように無惨に倒れていた。機材の部品と思われる破片がいくつか地面に散在している。状況を把握し始めた周囲は徐々にざわつき始め、裏方スタッフが急いで機材の回収を始めた。
それにもかかわらず当事者の私は自分のしでかした事の大きさと、機材やら何やらの賠償責任が頭を駆け巡り、項垂れながら顔を青くしていた。
「コツ、コツ、コツ」
自分の方へ足音が近づいてくる。鼻息を荒くし、目をギラギラとさせながら怒っている小太りの監督が来たのかと思った。
しかし、頭上から聞こえてきた声は怒りを含んだものでは無く、優しく労るようなもので、
「大丈夫ですか?怪我しませんでした?」
と言いながら差し伸べられた手に掴まり同じ目線に立つと、わたしは驚きのあまり目を見張った。
なんと私に手を差し伸べてくれたのは、あの
【新堂歩】だったのだ。
私は自身の身に起きた事があまりにも受け入れ難いものだった為、動転してしまい、思わずお礼の一言も言わずにスタジオから飛び出してしまった。背後から監督の怒鳴り声が聞こえた様な...聞こえなかった様な(後半で)
後日
希さん経由でしっかりと機材の賠償金は請求され、返済するにもまだバイトが決まっていなかった為、優しい監督のご配慮により現場でADとしてアルバイトをして返済することとなった。
この後、現場で私と彼が再会?するのは後程。
明日着ていく服装を悩みに悩んだ末に決め、翌朝お化粧もバッチリして準備万端!意気揚々と現場に向かった。
現場で希さんと合流し、そこからは希さんに着いて回った。そこは今まで見聞きしたことのないようなとても華やかな世界だった。しかしその幸せな時間も一瞬。何故か途中から希さんのいない隙間時間にちょっとした雑用を頼まれ始め、気づいたら希さんの仕事見学をそっちのけにして、頼まれた雑用の処理に追われていた。(素人に頼むか普通...)
やっとひと段落ついた頃には既に沢山の雑用をこなし終えた後で、髪はボサボサ、お化粧も撚れ、服も所々汚れが目立っている。
「こんなはずじゃなかったのに...」
つい本音が口から出た。ちょうどその時、私のいるスタジオの入口が騒々しい事に気づいた。少し近づいて見てみると、その中心にいたのはなんとあの有名な俳優
【新堂歩】だった。
芸能人に会えたことへの興奮で周りが見えなくなっていた為、当然足元に伸びていたコードになど全く気付かなかった。彼の方へと一歩足を踏み出した途端に、足に何か線状のようなモノが引っかかる感覚を覚えたと同時に「ギギギー」とした嫌な音が聞こえ、そのまま
「ガッシャーン!!」
何か重い物体が落ちたような音がスタジオ内に響きわたりスタジオ内は一気に静まった。周りの視線が一点に集まっている。恐る恐る後ろを振り向くと、やはり撮影の機材がドミノ倒しのように無惨に倒れていた。機材の部品と思われる破片がいくつか地面に散在している。状況を把握し始めた周囲は徐々にざわつき始め、裏方スタッフが急いで機材の回収を始めた。
それにもかかわらず当事者の私は自分のしでかした事の大きさと、機材やら何やらの賠償責任が頭を駆け巡り、項垂れながら顔を青くしていた。
「コツ、コツ、コツ」
自分の方へ足音が近づいてくる。鼻息を荒くし、目をギラギラとさせながら怒っている小太りの監督が来たのかと思った。
しかし、頭上から聞こえてきた声は怒りを含んだものでは無く、優しく労るようなもので、
「大丈夫ですか?怪我しませんでした?」
と言いながら差し伸べられた手に掴まり同じ目線に立つと、わたしは驚きのあまり目を見張った。
なんと私に手を差し伸べてくれたのは、あの
【新堂歩】だったのだ。
私は自身の身に起きた事があまりにも受け入れ難いものだった為、動転してしまい、思わずお礼の一言も言わずにスタジオから飛び出してしまった。背後から監督の怒鳴り声が聞こえた様な...聞こえなかった様な(後半で)
後日
希さん経由でしっかりと機材の賠償金は請求され、返済するにもまだバイトが決まっていなかった為、優しい監督のご配慮により現場でADとしてアルバイトをして返済することとなった。
この後、現場で私と彼が再会?するのは後程。