私達は結婚したのでもう手遅れです!
メガネを受け取るとマンションのドアを見た。
ここに怪しい人間は一切入れないが―――

「竜江。誰も近寄れないように見張りをつけとけよ」

「手配済みっす!」

すでに強面な連中を数人、廊下前に待機させていた。
手際がいい。
車には仙崎(せんざき)が待機している。
乗るなり、俺は言った。

「婚姻届を出す。その後、会社に向かってくれ」

わずかに二人は驚いたものの、祝う気持ちあるらしく、頭を下げた。

「冬悟さん。おめでとうございます」

「とうとうですかっ!おめでとうございます!」

「反対しないんだな」

ふっと笑うと二人は苦笑した。

「反対したところで冬悟さんの考えは変わらないでしょう」

「反対して殺されたくないんで」

「まあな」

「否定してくださいよっー!」

するわけがない。
邪魔する奴は全部ぶっ潰す。
そう決めてるんだよ、こっちはな。

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