私達は結婚したのでもう手遅れです!
「わっるい顔してますねぇー」

前の席から竜江がこっちをのぞく。

「まぁな」

「どうします?さすがに父親に脅しも誤魔化しもきかないっしょ?」

「正々堂々いただくに決まっているだろう」

指で羽花が外した嶋倉の代紋を弾いて宙に浮かせ、それを手の中につかみ取る。
羽花は俺の手の内。
俺から誰も彼女を奪えない。
それをわからせてやる―――
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