私達は結婚したのでもう手遅れです!
今、ものすごく時間を無駄にしたような気がした。
冷静になり、ワンピースを着て、髪をアップにする。
冷蔵庫の中身を見たけど、すっきりとしていて『余り物でなにか作ろう!』みたいなノリで作れそうなものはなかった。
サンドイッチが届けられていて、それをシーンっとした部屋でもぐもぐと一人で食べた。
なんだか静かだなあ……
百花(ももか)はどうしてるかな。
ちゃんとご飯作って食べてるかな。
職人さん達に囲まれて育ったせいか、この静けさがなんとなく寂しい。
美味しいはずのサンドイッチも味があんまりしなかった。
人の気配を感じたくて窓の外を見ると豆粒くらいだけど、見るからに怪しい黒い服を着た男の人がマンション前にうろうろしている。

「まさか。矢郷(やごう)組の人!?」

カードキーがないから出られないけど、まるでその人達はマンション前を見張っているようだった。
冬悟さんを待ってるとか?
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