私達は結婚したのでもう手遅れです!
まさか、待ち伏せしてぼこぼこにする作戦?
だ、大丈夫かな。
冬悟さんの顔を思い浮かべてみた。
ぼこぼこにされる姿が想像できなかった。

「うん……大丈夫そう」

部屋は綺麗でやることもない。
夕飯でも作って待っていようと思って立ち上がったけど、材料がなにもないことに気づいてしまった。
冬悟さんはほとんどデリバリーなのかもしれない。
キッチンカウンターにデリバリーメニューが置いてあり、その横に冬悟さんのメモ書きがあった。
鉄壁ですね……
あくまでマンションからは出さないという空気を感じた。
『必要なものがあれば、こちらに連絡を』
マンションの内線番号まで。
必要な物を言えば、そろえてくれるらしい。

「今、必要なもの……」

ぼうっとしながら、思い浮かべた、
それは食材かもしれない。
―――背に腹はかえられぬ。
私は意を決してマンションの内線を使用してお願いした。

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